賃貸住宅の鍵交換について、知っておくべきポイントをご紹介します
毎日使用している玄関の鍵は、住宅の防犯において最重要なアイテムといっても過言ではありません。空き巣犯や窃盗犯の侵入経路としても玄関ドアが用いられるため、玄関の鍵には常に高いセキュリティが求められています。
一方で「玄関の鍵を取り換えたいけれど、賃貸なので交換していいのか分からない・・・」とお悩みの方もいらっしゃいます。マンションやアパートなどの賃貸住宅においても、玄関ドアの鍵を交換すれば防犯性を高めることができます。
そこで本ページでは、賃貸住宅で鍵を取り換える際の注意点・交換作業に掛かる費用の目安をご紹介。鍵の交換を通して、暮らしのさらなる安心や利便性を手に入れましょう。
目次
賃貸住宅の鍵を交換する方法・3選
そもそも、賃貸住宅において鍵を交換するには、どのような方法があるのでしょうか?
自分で鍵を交換する
賃貸住宅で鍵を交換する方法としてまず思い浮かぶのは、自分で鍵を交換することです。
新しいシリンダーや錠前は、ホームセンターやネットショップなどで簡単に購入できるほか、プラスドライバーなどの最低限の工具さえあれば、基本的な鍵交換を行うことが可能です。
しかし、賃貸住宅はあくまでも「借りている場所」のため、鍵を交換するには住宅の所有者の許可が必要。大家さんや管理会社に問い合わせて、鍵の交換を行っても問題ないか確認を取るのが鉄則です。
許可なく鍵の交換を行うと、退去時にめんどうなトラブルになる恐れがあります。どれだけ高性能で高価な鍵に交換したとしても、借主である住人は、原状復帰の費用を負担する義務を負います。鍵交換の際はあらかじめ確認を取っておくことで、退去時に争いが起こることを予防しましょう。
大家さん・管理人に鍵を交換してもらう
大家さん・管理人に鍵交換の許可をもらうとき、その作業を任せることもひとつの手段に挙げられます。住宅管理に精通している大家さんや管理人に相談すれば、新しい鍵に取り換えてもらえるかもしれません。
また、鍵が明らかに古くなっている場合・防犯性に懸念がある場合などは、その費用を負担してもらえるケースもあります。自分での鍵の交換に不安があるなら、大家さんや管理人・管理会社に鍵交換を依頼することも視野に入れてみましょう。
出張鍵屋のスタッフに鍵を交換してもらう
鍵のプロフェッショナルである出張鍵屋のスタッフを呼んで、鍵を交換してもらう手段も挙げられます。プロの手で鍵交換を行ってもらえるので、要望に合った鍵を確実に設置してもらうことが可能です。
たとえ出張鍵屋のスタッフを呼ぶとしても、管理人や大家さんに相談することは必須事項です。住宅の所有者に、あらかじめ鍵交換することについて許可を得た上で作業してもらうようにしましょう。
賃貸住宅で鍵を交換するときの注意点とは?
自分の所有物ではない賃貸住宅においては、鍵を交換するときにいくつかの注意点があります。賃貸住宅すべてに共通して言えることから、不動産会社ごとに定めているルールなどさまざまな決まりがあります。
どのような方法でも、鍵を交換することについて大家さん・管理会社に許可を得る
ここまでの記事で繰り返しご紹介している通り、大家さん・管理会社に許可を得てから鍵交換をするのは、トラブルを防止するための最低条件です。
地震や火事・住民と連絡が取れなくなった時など緊急事態に備えて、大家さんや管理会社は合鍵を管理しています。住民によって勝手に鍵を交換されると、これらの合鍵が使えなくなってしまうのが理由のひとつです。また、賃貸借契約の違反にも該当しうるため、最悪の場合には契約解除・立ち退きを求められる恐れもあります。
鍵の専門家でなければ、取り付けできないタイプの鍵もある
ご自身での鍵交換を検討されている方も少なくありませんが、玄関の鍵の中には、初心者の手で取り付けるのが困難な商品も増えています。防犯性を高い水準で維持するために、取り付けの際に特殊な機材や技術が必要となる鍵が増えているのです。
セキュリティの強固な鍵を選びたいなら、鍵のプロフェッショナルに相談した方が賢明です。より多彩な商品の中から、ニーズや予算に合った鍵をチョイスすることができるでしょう。
出張鍵屋を選ぶときには、自分の要望に合った業者を選ぶ必要がある
上記に関連して、出張鍵屋を選ぶ際には、自分の要望に合った業者を選択することが重要事項です。取り扱う商品の幅広さだけでなく、出張エリア・営業時間などもチェックしましょう。ホームページや口コミサイトなどを確認し、自分が取り付けたい鍵の設置実績があれば、安心して相談することができます。
会社別・賃貸住宅で鍵を交換するときのルールや料金
大手不動産会社では、借主が賃貸住宅で鍵を交換することについてルールを設けています。
以下のルールはあくまでも原則であり、これらを前提としながら個別の賃貸借契約が取り決められています。
自分の住んでいる部屋の鍵交換について、契約時の書類を確認しておきましょう。
大東建託:退去時の復旧という条件の下、自分で鍵交換できるのが原則
大手不動産会社である大東建託は自社のホームページにて、住民による鍵交換も可能だと紹介しています。
その上で、退去時には元の状態に戻す必要があり、その費用は交換した住民自身が負担する義務があるとしています。借主に原状復帰の義務があると定める不動産会社は他にも多数あり、現在ではこの考え方が広く浸透しています。
UR:入居時の鍵交換費用は不要だが、退去時に新しい鍵の返却が必要
入居時の鍵の交換費用が不要なURですが、居住中の鍵の交換については「借主が費用を負担するケースが一般的」だとしています。また、退去時の原状復帰については特に規定がなく、賃貸借契約を個別に参照する必要があります。
その上で、鍵の交換・修理を行う際や合鍵を作る際には、あらかじめ大家さんや管理会社に連絡する必要があると紹介されています。
大和ハウス:鍵の交換費用は、各管轄の営業所から個別に案内される
大和ハウスの賃貸住宅では、アナログ式カードキーやICカードキーを採用していますが、これらの鍵の交換は同社のホームページから相談することができます。交換費用は11,000円から16,500円で、別途5,500円の出張料が請求されます(2023年時)。
また、シリンダキー・ディンプルキーの交換について問い合わせると、管轄の営業所から個別に案内が届きます。ここで詳細を伝えることで、費用や作業の内容が確定します。
賃貸住宅で鍵を交換するタイミングとは?
ここまで、賃貸住宅で鍵を交換するときの注意点についてご紹介しました。さて、賃貸住宅で鍵の交換が必要となるのは、どのようなタイミングなのでしょうか?
鍵を紛失してしまった時
第一に、鍵を紛失してしまった時です。
悪意のある誰かに鍵を盗まれているケースがあるので、その鍵を悪用して住宅に侵入されないために、すぐに鍵を交換する必要があります。また、たとえ鍵が見つかったとしても、発見された場所によっては、誰かがその鍵を複製している可能性が排除できません。その後の生活を安心して送るためにも、鍵を紛失した後には交換しておくのがオススメです。
住宅の防犯性を高めたい時
次に、住宅の防犯性を高めたい時です。
空き巣犯などの侵入犯の約70%は、5分でドアの鍵を開けることができないと、通行人による通報や住民の帰宅を恐れて侵入を断念すると言われています。つまり、ピッキング・こじ開けなどの不正開錠に5分以上の耐性がある鍵を取り付けておけば、防犯対策として高い効果があると言えるのです。
警察庁や国土交通省などから構成されている官民合同会議が、防犯性能を認めた防犯建物部品の錠は、Crime Prevention (防犯)の頭文字を取って「CP認定錠」と呼ばれています。防犯性能試験では、不正開錠に5分以上の耐性があるかどうかを基準としており、これを満たした鍵にはCPのマークが付いています。鍵選びに迷ったら、CPマークの有無も参考にしてみましょう。
新しく引っ越してきた時
新しく賃貸住宅に引っ越してきた時も、鍵交換が必要となるタイミングです。鍵を交換していないと、前の居住者がそのままの鍵で侵入できてしまうため、防犯上の観点から大問題だと言えます。
新しい住民との賃貸借契約が結ばれると、入居日前までに鍵交換を行うのが一般的です。もしも「本当に新しい鍵と交換しているの?」と疑念があれば、管理会社や大家さんに連絡し、鍵の交換に立ち会わせてもらえないか相談してみましょう。
引っ越してきた賃貸住宅の鍵交換は、誰が費用を負担するべきか?
新しく引っ越してきたタイミングでの鍵交換についてご紹介しましたが、この時の鍵交換に掛かる費用は、誰が負担するのでしょうか?
国土交通省のガイドラインでは、貸主の費用負担が原則である
国土交通省では「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を定め、賃貸住宅の管理についての指針を示しています。そして、同ガイドラインの中で「鍵の取替え(破損、鍵紛失のない場合)」については「入居者の入れ替わりによる物件管理上の問題であり、賃貸人の負担とすることが妥当と考えられる。」と示しています。
つまり、鍵交換の費用は貸主(大家さん・管理会社など)が負担するのが妥当だと明記しているのです。
しかし、このガイドラインには法的な拘束力がありません。現状のほとんどの賃貸借契約は貸主に有利な条項が多く、鍵交換費用も初期費用の中に含まれることが一般的。これに同意した借主(新しい住人)が初期費用を支払うことで、鍵の交換を行うケースが大半です。
借主が負担すると定められた場合でも、交渉の余地はある
賃貸借契約の中の初期費用に「鍵の交換費用」が含まれている場合でも、鍵の交換を借主(新しい住人)が負担すると決まったわけではありません。
大家さんや管理会社に「鍵の交換を貸主負担にしてもらえないか?」と相談することが可能です。
他の入居者がなかなか見つからないシーズンや、あまり人気のない物件であれば、鍵の交換費用を負担してもらえるケースも少なくありません。
賃貸住宅の鍵交換の費用はどれくらい?
最後に、賃貸住宅において鍵交換を実施する際の費用についてご案内します。
ディスクシリンダーキー
鍵山の両側にギザギザとした刻み加工が施されているディスクシリンダーキーに交換する際には、部品代として最低でも数千円は掛かります。また、スタッフを現場に派遣して鍵交換を行うため、出張費用も別途加わるのが一般的です。
なお、ディスクシリンダー錠はピッキングの耐性が低いことが指摘されており、防犯上の懸念から廃盤になっている商品も増えています。交換する場合には、その用途やセキュリティ面を確認した上で取り付けるようにしましょう。
ピンシリンダーキー
鍵山の片側に刻み加工があるピンシリンダーキー。この鍵もディスクシリンダーキーと同様に、出張料金に加えて部品代の数千円はかかります。
メーカーが現行販売している玄関用のピンシリンダー錠には、ピッキング対策が施されているものも少なくありません。不正開錠への耐性が高い鍵を選んで設置できるよう、駆け付けたスタッフに相談しましょう。
ディンプルキー
鍵山のギザギザとした刻み加工の代わりに、丸い凸凹の加工が施されているのがディンプルキーです。防犯性の高いディンプルキーに取り換える場合には高額になりやすいです。また、交換作業には高い技術と専門的な機材が必要となる場合があり、作業料金として数万円ほどが掛かります。
他の鍵と比べると高価なディンプルキーですが、その安全性は現代の鍵の中でもトップクラス。暮らしの安心を守るためなら、決して損な買い物ではありません。
電子錠
ICカードや生体認証・暗証番号で開錠する電子錠への交換には、部品代として数万円かかることもあります。
ここまでに紹介した物理キーと異なり、電子錠は商品の特性がさまざまなので、ご自身のニーズに合った鍵を選ぶのが大切です。どんな鍵がいいか分からない場合には、欲しい機能や予算・デザインなどを鍵屋のスタッフに伝え、候補となる商品をピックアップしてもらいましょう。