防犯性の高いディンプルキーの合鍵の作り方を、3種類に分けてご紹介

そもそも「ディンプルキー」とはどんな鍵？

ディンプルキーの合鍵作成について解説する前に、そもそもディンプルキーとはどんな鍵なのか確認していきます。

表面に凸凹とした加工が施されているディンプルキー

ディンプルキーの表面には、その名の通り「ディンプル」と呼ばれるデコボコとした加工が施されています。

この加工は鍵の表・裏だけでなく、数ミリしかない側面に施されているタイプのディンプルキーもあり、これらのデコボコが全て正しい形状の鍵でないとドアの開け閉めができません。

これまでの鍵と比較して防犯性が高く、不正な開錠が困難

玄関ドアの鍵を例に出すと、ディンプルキーが登場する前に広く用いられていたのは「ディスクシリンダーキー」や「ピンシリンダーキー」でした。ディンプルキーとは違い、これらの鍵の側面には、山のようにギザギザとした形の刻み加工が施されています。

多くの住宅の玄関や勝手口に採用されていたディスクシリンダーキーやピンシリンダーキーでしたが、空き巣手口の巧妙化とともに、その安全性の低下が懸念されました。ピッキングやバンピングと呼ばれる手法にも耐性がある鍵として、開発されたのがディンプルキーです。

ブランクキーを加工して合鍵を作ることは不可能

ディスクシリンダーキー・ピンシリンダーキーは鍵山のパターン数が限られていて、タイプによっては簡単に複製することが可能です。「ブランクキー」と呼ばれる未加工の鍵を用意して、金属用の特殊なハサミを使用し、ブランクキーの鍵山の形を切ることで合鍵を作成します。

一方、ディンプルキーは数ミリ単位以下の凸凹の大きさや向き・深さなどのパターンが多岐にわたり、普通の方が手作業で合鍵を作るのは不可能。専用のキーマシンを使わなければ作成できないものもあり、安全性の高さがうかがえます。

身の回りにも多数！ディンプルキーはどんな場所に使われている？

日常生活の安心を守るディンプルキー。では、ディンプルキーは実際、どんな場所に使われているのでしょうか？

玄関ドアの鍵

ディンプルキーが使われている場所として最もイメージしやすいのは、玄関ドアの鍵でしょう。毎日人が出入りする玄関は、住宅の防犯において最重要な場所であるため、最高峰の安全性が求められます。

大手メーカーが販売しているディンプルキーの中には、1,000億通りを越えるパターンのある商品もあり、そのセキュリティの強固さで安心感があります。鍵がない状態ですぐにこのドアを開けることは不可能で、空き巣犯の犯行抑止にもつながるため、多くの住宅の玄関にディンプルキーが採用されています。

シャッターの鍵

玄関だけでなく屋外のシャッターの鍵にも、ディンプルキーが使われることが増えています。大切な自動車や自転車を守るための車庫のシャッターのほか、屋外に設置されている倉庫・物置の鍵にもディンプルキーが多く見られます。

このような鍵には、鍵の差込口を保護する形で簡易的なカバーが設けられていることもあります。屋外で雨風にさらされていても、ディンプルキーの鍵穴部分にホコリや砂が入らないよう工夫されています。

自転車の鍵

かつてディンプルキーは高価な鍵というイメージがありましたが、近年ではリーズナブルな価格で購入できる商品が増えています。また、小さなディンプルキーの製造も増加していることを受け、自転車の鍵としても使われるようになりました。

自転車は簡易な鍵しか搭載していないことから、盗難被害の報告も少なくありませんが、ディンプルキーは防犯性が高く窃盗対策に効果的。ヘアピン・針金などで開けるのはほぼ不可能で、自転車窃盗の減少に貢献していると言われています。

金庫の鍵

防犯性が求められる金庫の鍵にも、ディンプルキーが使われていることがあります。ディンプルキーが単体で採用されているほか、ダイヤルやテンキー式の暗証番号錠・指紋などの生体認証錠とセットで金庫に搭載されていることもあります。

鍵の専門家であるプロでも、このような金庫の開錠には数十分から数時間かかると言われており、大切なアルバムや貴金属・現金などを保管する場所として最適です。

ディンプルキーの有名メーカー3選

ここまで、ディンプルキーがよく使われている場所をご紹介しました。安心感のあるディンプルキーですが、日本で広く知られているのはどんなメーカーの商品でしょうか？

あらゆるメーカーがディンプルキーを販売していますが、ここでは有名な3社をご紹介します。

国内シェア6割！圧倒的な人気を誇るMIWAロック

「MIWA」の刻印が施された鍵で有名な美和ロック株式会社は、国内シェアで6割を超える国内最大手の建築用錠前メーカーです。アジア・ヨーロッパ圏でも同社の鍵が販売されており、その安全性の高さが国境を越えて評価されています。

MIWAではPRシリンダーや LBシリンダーなど、ディンプルキーも幅広く販売しています。戸建て住宅向けの商品にとどまらず、マンションなどの集合住宅・オフィスや商業施設向けのディンプルキーも人気を集めています。

1914年に創業し、今も大阪に本社を構えるGOAL

国内メーカーとして初となる、リバーシブルディンプルキーの独自開発に成功したGOAL社。鍵と錠の専門メーカーとして、西日本を代表する大手企業です。

GOALのディンプルキーの中でも、不正開錠への耐性の高さ・鍵違いの多さで圧倒的なのがGVシリンダーです。最大5段差・24本のピンによって1000兆以上の鍵違いパターン数を持つGVシリンダーは、高いセキュリティが求められる住宅・会社などで採用されています。

コインロッカーを日本で初めて製造したアルファ

1964年に日本で初めてコインロッカーの製造・販売を行ったのがアルファ社です。同社ではコインロッカーの他にも電子錠や物理キーの製造もおこなっています。

アルファでは鍵の表面に小さなボール(フローティングボール)を埋め込んだ、FBロックやFB11AARなどのディンプルキーも販売しています。高い技術を生かした防犯性で、多くの建物のドアに同社の鍵が採用されています。

ディンプルキーの合鍵の作り方

ディンプルキーを製造している有名なメーカーをご紹介しました。では、このようなディンプルキーの合鍵を作るためには、どうすればよいでしょうか？

①鍵屋の窓口・ホームセンターなどに持参する

最もシンプルな方法として、店舗を構えている鍵屋に持ち込むという手段があります。単体で展開している鍵屋だけでなく、大型ショッピングモールやホームセンター内に窓口を設置している鍵屋もあるので、これらに持参すれば合鍵を作ってもらえます。

しかし、そもそものディンプルキーを紛失してしまった場合など、持参するのが難しい場合には、他の方法を考える必要があります。

②鍵メーカーに問い合わせる

次に、鍵メーカーに問い合わせるという手段です。製造元のメーカーが用意している相談窓口に連絡し、対応について相談することができます。

ディンプルキーのセキュリティカードや鍵番号が分からない場合や、鍵の所有者本人でない場合には、依頼しても鍵を作ってもらえないケースがあります。また、問い合わせから返答・鍵の製造まで時間が掛かるケースもあり、急いでいる場合にはオススメできません。

③出張鍵屋のスタッフに来てもらう

手元の鍵を紛失してしまい、スペアキーを用意できない場合には、出張鍵屋のスタッフに来てもらうという手段があります。対応している商品であれば、鍵穴から鍵の形状を読み取り、鍵作成を実施してもらうことができます。

鍵屋によっては深夜・早朝に営業していないため、活動時間はあらかじめ確認しておく必要があります。また、同様に出張エリアもチェックしてから相談するようにしましょう。

ディンプルキーの合鍵が作れない場合はある？

ここまで、ディンプルキーの合鍵の作成方法についてご紹介しました。

一部のディンプルキーの場合、メーカーや業者に相談しても作成してもらえない場合があるので、ここからはその例をご紹介します。

メーカーが特許を取得している時

まず、メーカーが自社の製造している鍵について特許を取得している場合です。

防犯性の低下を防ぐため、メーカーが特許を取得している鍵がある

メーカー側で鍵の製造を規制していないと、地域の鍵屋が許可なく鍵の製造を行うことになります。これにより、質の高い鍵と低い鍵とが出回るようになり、鍵の安全性や品質を保つことが難しくなります。

このような玉石混交の事態を防ぐため、メーカー側が鍵について特許を取得することがあります。

鍵屋やホームセンターでは、特許のある鍵を許可なく作れない

メーカーが特許を取得している鍵は、製造のために許可が必要です。

言い換えれば、鍵屋やホームセンターでは、これらの鍵をメーカーの許可なく作れないということです。

ご自分の鍵が特許のある鍵かどうか、型番やメーカー名をあらかじめ検索しておくのもオススメです。

元の鍵を紛失してしまった時

次に、元のディンプルキーを紛失してしまい、手元に鍵がない場合です。

元の鍵がなければ、鍵屋やホームセンターに持参できない

鍵屋の店舗やホームセンターなどにディンプルキーを持参して鍵を作ってもらうのは、手元に鍵が無ければ不可能です。

このような場合、出張鍵屋に現場まで来てもらう以外には、成す術がありません。

出張鍵屋に相談すれば、鍵穴からディンプルキーを作れる場合がある

現場に駆けつけてくれるタイプの出張鍵屋に相談すれば、ディンプルキーの合鍵を作ってもらえます。また、鍵がない状態でも鍵穴からディンプルキーを作れる場合があるので、相談してみる価値はあるでしょう。

もしも鍵穴からディンプルキーを作れないと判断された場合には、勝手口など他のドアから室内に入って内側から開錠するか、鍵を新しいものに交換する必要があります。

ディンプルキーの合鍵を作るためのセキュリティカードを持っていない時

最後に、ディンプルキーを購入・設置した時に渡されたセキュリティカードを失くした場合です。

購入時に付属するセキュリティカードがないと、合鍵が作れない

一部の鍵メーカーでは、防犯性を維持するために、ディンプルキーとセットでセキュリティカードを作成しています。ディンプルキーを拾った・盗んだ人間が誰でも複製できないように、このセキュリティカードは欠かせません。

このカードにはIDや所有者情報などが記されていますが、所有者自身がディンプルキーの合鍵を作る際にも必要なものです。これがないと、合鍵作成を断られてしまう場合があります。

身分証・セキュリティIDの提示が求められることもある

メーカーによっては、購入時のセキュリティカードと合わせて、身分証やセキュリティIDなどの提示が求められることもあります。「家の鍵を紛失したが、IDカードも家の中にある・・・」という事態になりかねないため、鍵を失くしたときを見越して、紛失時に必要な書類を管理できるのがベストです。

ディンプルキーの合鍵を作成できない場合の対処法

メーカーが特許を取得している時や、合鍵・セキュリティカードを失くした時など、ディンプルキーを作成してもらえない場合について解説しました。

では、八方塞がりになるこのような事態に困った時には、どうすればよいのでしょうか？

鍵を紛失して合鍵の作成も不可能なら、鍵の交換を行うしかない

結論から言えば、1本も合鍵を作ることが不可能な場合には、鍵を交換する以外に手はありません。開かない状態のドアを放置しておいてもよいのであれば別ですが、たとえ戸建住宅であったとしても、その状態は不便極まりないでしょう。

鍵を交換してしまえば、新しいシリンダーと新しい鍵のセットを手に入れることができます。これによって、紛失した鍵をもう一度探す必要はありません。

鍵を開錠もしくは破壊してからでなければ、鍵を交換できない

鍵を交換する上では「ドアが開いている状態でなければ、鍵の交換ができない」ことに注意しましょう。鍵交換のために金属プレートを外したり、錠のケースを取り出したりする作業は、いずれもドアの側面から行うため、ドアが開いていないと交換作業ができないのです。

手元に鍵がなく、ドアも施錠状態の場合には、まず鍵の開錠からクリアしていく必要があります。開ける術がない場合には鍵を破壊するか、最悪の場合にはドアごと取り換えるという方法も考えられます。

ディンプルキーの合鍵を作る時の注意点

さて、ここからはディンプルキーの合鍵を作る際に注意すべきことをご紹介します。

純正ではない合鍵をさらに複製することはできない

第一に注意すべきことは「純正ではない合鍵をさらに複製することはできない」点です。一般的な合鍵は、未加工状態の鍵(ブランクキー)を、元の鍵とそっくりな形に加工する方法で作られます。このブランクキーは、鍵屋が短時間で加工しやすいように、比較的柔らかい「真鍮」などの金属素材で作られています。

すぐに加工できる一方で、長年の使用を経て表面がすり減ったり、形が変わったりしやすい点が真鍮の短所です。真鍮製の合鍵は、最初の純正キーとはしばしば形が変わっているので、それを複製したとしても鍵が使えない可能性があるのです。

「せっかく作った合鍵なのに、鍵穴に差しても回らない！」というクレームを受ける可能性もあるため、純正以外の合鍵を複製する作業はお断わりしている鍵屋も少なくありません。

賃貸住宅の場合には、管理会社や大家さんへ事前に相談する

上述した通り、賃貸住宅でディンプルキーの合鍵を作る際には、管理会社や大家さんへ事前に相談する必要があります。相談した上で許可があれば、そのときに初めてディンプルキーの合鍵を作るという流れが大切です。

勝手に作った合鍵を紛失し、空き巣被害や盗難被害に遭った場合には、保険や補償の対象外になるケースもあるので注意しましょう。

必要とする数を超える合鍵は作らない

ディンプルキーに限らず、すべての鍵について共通して言えることですが、必要以上の数の合鍵を作るのは危険が伴います。

鍵の数が増えれば増えるほど管理が難しくなり、紛失・盗難のリスクも高まるからです。

「鍵を所有する人数分+予備の1~2個」を目安にして、合鍵を作るようにしておきましょう。

ディンプルキーの合鍵を作ってもらう鍵屋の選び方

ここからは、ディンプルキーの合鍵を作ってもらう時の、鍵屋の選び方のポイントをご紹介します。

業者の営業時間

まず、鍵屋の営業時間に注目しましょう。

会社によっては24時間営業していたり、夜間は作業を受け付けていなかったりと、その営業形態はさまざまです。ホームページやチラシなどの情報を踏まえ、ニーズに合った会社に相談するようにしましょう。

スタッフの活動しているエリア

次に、鍵屋のスタッフの方が活動しているエリアにも注目です。お住まいのエリアに出張しているかどうかを、ホームページなどでチェックしておくと安心です。また「ディンプルキー 合鍵 ○○(地名)」などのフレーズで検索するのもオススメです。

ディンプルキーの合鍵作成の実績があるか

ディンプルキーの合鍵作成は一筋縄ではいかないものばかり。業務用キーマシンを使用しながら、熟練の技術や経験が求められます。

そのため、合鍵を過去に作成した実績があるかどうかは、依頼前に確認しておくべきポイントです。ホームページに作業の実例などが紹介されていないか、事前にチェックしておきましょう。また、以前に作業を依頼した方の声がSNS・口コミサイトなどに掲載されていれば、それらも参考にすることができます。

ディンプルキーの合鍵を作る時の値段

最後に、ディンプルキーの合鍵を作る時に掛かる費用について紹介します。これらはあくまでも目安であり、作業内容・ディンプルキーの種類やメーカーによっても異なるので、実際の値段についてはスタッフに直接確認しましょう。

鍵屋でディンプルキーの合鍵を作る時の値段

出張鍵屋でディンプルキーの合鍵の作成を依頼する場合、まずは作業料金が掛かります。簡単な作業であれば数千円から、複雑で高度な技術が求められる場合にはそれ以上の料金が掛かるのが一般的です。

また、ディンプルキーの合鍵を作成するのであれば材料代も必要です。素材によって異なりますが、手に入りやすい素材であれば数千円から、高いものだと数万円以上のものもあります。これからその鍵を使用する期間などを踏まえて検討しましょう。

最後に、出張費用です。スタッフが現場に駆け付けるための費用ですが、安い場合には5,000円程度が、遠方からの出張や深夜・早朝の依頼だと数万円程度が一般的です。

ホームセンターでディンプルキーの合鍵を作る時の値段

ホームセンターでディンプルキーの合鍵を作る時に掛かる費用の内訳は、上述した作業料金と材料代の2つに分かれます。それぞれ数千円～数万円が一般的な金額です。

しかし、手元にキーマシンがなかったり、適切な素材を取り寄せる必要があったりする場合には、より高額になるケースもあります。また、そもそもディンプルキーを全て紛失してしまった時には、肝心の鍵を窓口に持ち込むことができないので、ホームセンターに相談できない点に注意しましょう。

メーカーでディンプルキーの合鍵を作る時の値段

鍵を製造したメーカーに依頼し、ディンプルキーの合鍵を作る時の値段は、おおむね数万円から数十万円になるのが一般的です。高品質な鍵を作れる反面、鍵屋やホームセンターに比べると費用が高額になるケースが多いようです。

また、作成時には鍵の配送料を請求されることもあります。セキュリティカードを紛失した場合・本人以外から依頼している場合など、条件を満たせないとメーカーに作ってもらえないこともあるので、あらかじめ確認が必要です。

住宅玄関のディンプルキーの合鍵を作る時の値段

高性能なディンプルキーが採用されている住宅の玄関は、合鍵を作る時の値段も高額になりがちです。

費用はさまざまですが、平均すると数万円～数十万円になります。たとえリーズナブルでも複数個の合鍵を作ったり、鍵のメンテナンス・交換などを依頼したりすると、さらに費用が掛かることになります。

金庫のディンプルキーの合鍵を作る時の値段

金庫のディンプルキーの合鍵も、住宅玄関の鍵と同様に、数万円～数十万円の作成費用が掛かります。住宅の玄関よりも高性能で、防犯性の高いタイプのディンプルキーであれば、そのぶん合鍵作成は高価になります。

また、金庫の開錠のためにダイヤルの暗証番号の解除・生体認証のリセットなどを行う場合には、その費用も別途かかります。

自転車のディンプルキーの合鍵を作る時の値段

自転車のディンプルキーは、平均的に見れば、住宅や金庫の合鍵を作るよりも安価に済みます。

数千円から数万円程度で作業が終わることが一般的ですが、自転車のメーカー・製造された時期などによっても異なります。また、ロードバイクやマウンテンバイクなどの高級な自転車を守る鍵だと、合鍵作成に数十万円掛かるケースもある模様です。

ディンプルキーの合鍵が必要なら、レスキューインフォにご相談ください

安全性の高いディンプルキーですが、裏を返せばディンプルキーの合鍵作成は簡単でないということです。

レスキューインフォでは、ディンプルキーの合鍵作成に関するご相談を24時間体制で承っておりますので、お困りの際にはいつでもご連絡ください。